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2020/8/17
「退職金は税制上優遇されている」
給与や事業収入よりも、
かかる税金が少ないということだ。
退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。
※国税庁ホームページより
この有利な点は、
会社を退職した時に受取る通常の退職金に限らず、
退職金と同じ性質のものでも同様である。
代表的なものでは、
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・小規模企業共済(小規模企業の経営者や自営業の退職金制度)
などであろう。
※iDeCoや小規模企業共済は、掛金支払が所得控除になるという有利な点もあります。
退職金は、
上記のような退職金と同じ性質のものを含めて
税金上は『退職所得』という所得区分として取り扱われる。
この『退職所得』にかかる税金の計算方法が
他の所得と異なるからこそ、有利なのだ。
どのような点が他の所得と異なるのだろうか?
●退職所得控除が大きい
給与所得には概算経費である「給与所得控除」があります。
退職所得にも概算経費である「退職所得控除」があるのです。
「退職所得控除」は、勤続年数に応じて決まっています。
勤続年数が20年以下であれば1年につき40万、
20年超からは1年につき70万です。
≪退職所得控除の金額≫
勤続年数 | 控除額 |
2年以下 | 80万円 |
3年以上20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
現在(令和2年)の給与所得控除の最高額が195万円ですから、
それに比べると退職所得控除はかなり大きいと思いませんか?
●税率をかける前に2分の1にする
退職所得にかかる税金の計算式は以下の通りです。
{(退職金収入ー退職所得控除)×1/2 }×税率
税率をかける前に2分の1するのです。
退職所得控除も大きかったですが、
退職所得控除を差し引いたあと、さらに半分にしてくれるのです。
これまたかなり優遇されていると思いませんか?
●単独で税率をかける
所得税の税率は以下のように決まっています。
所得税を計算するとき、
給与や年金、事業所得などは、
それぞれの所得を合算したうえで税率をかけます。
しかしながら、
退職所得の場合は、
退職所得のみで税率をかけるのです。
これを”分離課税”と呼びます。
所得税は、所得が大きくなれば大きくなるほど税率が高くなる累進課税方式ですので、
他の所得と合算して全体の税率が高くなる心配がない、
というのは有利な点です。
●具体例と注意
おさらいですが、
退職所得にかかる税金の計算式は以下の通りです。
{(退職金収入ー退職所得控除)×1/2 }×税率
ではここで具体例で計算手順をみてみましょう。
【例】
退職金 25,000,000円
勤続年数 28年
(1)退職所得控除を引く
退職所得控除:8,000,000+700,000×(28年-20年)=13,600,000円
退職金25,000,000円-退職所得控除13,600,000円=11,400,000円
(2)2分の1する
(1)×1/2=5,700,000円
(3)税率をかける
所得税 5,700,000円×20%-427,500円=712,500円
住民税 5,700,000円×10%=570,000円
所得税+住民税=1,282,500円
(実効税率:1,282,500円÷25,000,000円=5.13%)
※復興特別所得税は考慮していません
————————————-
上記の場合は、2500万の退職金について
5%ほどの税金しかかからない結果となります。
どうでしょうか?
他の所得と比べて退職所得が有利である点がご理解いただけましたでしょうか。
ご自身のリタイアメントプランなどを立てるときにも
この退職所得のことを考慮すると
いいのではないかと思います。
ただし、複数の退職所得がある場合は、
退職所得控除の計算に調整が入りますので、受取のタイミング・順序にはご注意ください。
以前のブログで書きましたのでご参考までに。
***
≪あとがき≫
具体例では会社からもらう退職金の話をしましたけれども、
これから退職金は自分で積み立てるものになるのでは?という気がします。
終身雇用制度が崩れていますからね。
あるいは、
現役引退自体が無くなる。
一生現役で死ぬまで働き続けるとか。
老化しない身体を手に入れられる時代が到来して・・・
SFに流して終わります。
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