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2019/11/21
「自営業なら退職金がないことなど百も承知。
自分の退職金は自分で作るものだ。」
うんうんそうそう。おっしゃる通り。
小さな会社の社長さんが自ら用意して、
受け取る可能性のある退職金は以下の3つですよね。
(1)iDeCo
(2)小規模共済
(3)自社の退職金
この3つの退職金、
上記の(1)(2)(3)の順番で受け取っていただきたい。
なぜかというと、
受取時の税金負担を小さくできる可能性があるからです。
≪注≫2019年11月現在の法令に基づき書いています。
●iDeCoとは、小規模共済とは
まず最初にiDeCo(イデコ)について。
正式には「個人型確定拠出年金」といいます。
iDeCoとは、加入者が積み立てで掛金を拠出し、
イオン銀行ホームページより https://www.aeonbank.co.jp/ideco/about/
自分で選んだ商品で運用を行い、
60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる制度です。
運用の成果によって、将来受け取る年金額は変化します。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、
課税所得が減り、所得税や住民税が軽減されます。
運用時 利息や運用益は非課税です。
続いて小規模共済です。
正式には「小規模企業共済」といいます。
国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度は、
中小機構ホームページより https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/features/index.html
小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。
掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。
iDeCoも小規模共済も、受取は
「一括」「分割」「一括と分割の併用」が選択可能です。
一括受取りの場合は退職所得扱いに、
分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなります。
●できるだけ一括受取の方が良いと思う
ライフプランを考慮したうえで、
分割受け取りを選択するのも勿論あり、です。
ただ、税金や社会保険の負担から考えると
一括受取にして『退職所得扱い』にしたほうが有利になる場合が多い。
なぜなら、
分割で受け取る場合は、
受取金は『公的年金等の雑所得扱い』となる。
つまり年金収入です。
年金収入は、社会保険料の金額の算定要素となるので、
健康保険料などの金額が上がる可能性があります。
一方、『退職所得扱い』となれば、
社会保険料の金額の算定要素にはなりません。
また、分割払いとなるとその支払分の振込手数料等が毎回かかる場合があります。
そしてなんといっても
『退職所得扱い』となれば、
”退職所得控除”が使えるのが有利な点です。
(分割受取の『公的年金等の雑所得扱い』の場合は、
公的年金控除が使えますが、退職所得控除ほど有利ではありません)
●”退職所得控除”が使える、とは?
退職所得控除とは、
退職所得にかかる税金を計算するときに、
受取額から控除する金額で、
勤続年数に応じた金額のことをいいます。
iDeCoや小規模共済の場合は
勤続年数=掛け金の拠出年数 と置き換えて
20年以下・20年超に分けて以下のように計算します。
勤続年数(A) | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×A(最低80万) |
20年超 | 800万円+70万円×(A-20年) |
そして退職金にかかる所得税・住民税は、
{(収入金額 - 退職所得控除額)×1/2 }×税率
で計算します。
※2分の1は、勤続年数が5年以下の役員には適用されません。
例えば、
35歳から60歳まで掛け金を拠出した人の退職所得控除は、
800万+70万×(25年-20年)=1150万円
45歳から60歳まで掛け金を拠出した人の退職所得控除は、
40万×15年=600万円
となりますので、
この退職所得控除より少ない退職金だったら税金がかからないというわけです。
●勤続年数が重なるかもしれないから、受取順序に注意
退職所得控除は、勤続年数に比例して増えます。
国税庁によれば、
「長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、
退職所得控除を設けたり、
他の所得と分離して課税されるなど、
税負担が軽くなるよう配慮されています」とのこと。
しかし同時に2社働いている場合などは、勤続年数が重複していますので、
重複分は退職所得控除が減額されます。
ところが、重複を加味するかどうかの基準がありまして、
前年以前4年以内に他の退職金をもらっている場合は重複期間の退職所得控除を減額することになっています。
iDeCoを含む確定拠出年金については、4年ではなくて、特別に14年です。
というわけで、iDeCoで退職金を受取る場合には、
その14年前から受取時までに他の退職金をもらっていると、
退職所得控除が減ってしまいます。
14年は長いですね~。
なので、ここはiDeCoの退職金を一番最初に受取り、
小規模共済や自社の退職金を4年超(5年以上)期間をあけて受取れば、
重複期間分の減額が無く、
退職所得控除がそれぞれで満額つかえる、ということになります。
具体例としては、
60歳:iDeCoの退職金受取(一括)
65歳:小規模共済の退職金受取(任意解約・一括)
70歳:自社の退職金受取
こんな感じです。
ちなみに、小規模共済は任意解約をする場合、
65歳以上からでないと一時所得扱いになってしまうので注意してください。
あと、自社の退職金に関しては、
赤字が積もっていたら
そもそも退職金払う分が無いですけどね・・・。
***
社長なら、自分で退職金は作るものです。
自分で作るから自分でコントロールできるというもの。
次回はiDeCo大作戦その2として、
iDeCoについてさらに詳しくいきたいと思います。
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