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2020/12/14
自宅を売却して利益が出た場合の
所得税の特例は3つある。
これら特例は、住宅を買い換えたとき、
住宅ローン控除と同時に使うことは基本的にできない。
(詳しくはまた次回)
よって、
・旧住居について売却益が出ており、
・新住居について住宅ローンを組んでいる場合、
⇒売却益の特例 or 住宅ローン控除の特例 のどちらかを選択
することになります。
まずはそれぞれの特例を受けた場合に減る税金を計算して比較。
差が少ない場合はその他の状況を加味して検討します。
(売却益の特例は、3000万控除を使うものとして考えます)
●まずは金額を比べる
(1)旧住居で売却益に3000万控除を使う場合
3000万控除を使えば、売却益から30,000,000を差し引いた後の金額で課税されます。
・売却益が3000万円以上出ていた場合に減る税金は、
30,000,000×長期譲渡の税率20.315%=6,094,500円
※3000万を超える部分については、要件を満たせば10年超所有の軽減税率特例を使うことができます。
・売却益が2000万円ならば、
20,000,000×長期譲渡の税率20.315%=4,063,000円
の税金が減ります。
(2)新住居の住宅ローン控除により減る税金
住宅ローン控除を使えば、
10年間、ローンの年末残高と新住居の取得価格のいずれか低いほうの金額×1%の税金が減ります。
(消費税10%摘要時は13年間)
通常の新築住居なら、1年間の上限は40万。
認定住宅なら1年間の上限は50万です。
よって通常の新築住居の場合の控除額最大値は、
400,000×10年=4,000,000円となります。
(認定住宅は500,000×10年=5,000,000円)
多くの場合は、新住居の取得価格より年末のローン残高のほうが低くなります。
よって例えば、ローンの年末残高の各年の平均残高が2000万であれば、
20,000,000×1%×10年=2,000,000円
の税金が減るということになります。
●差が少ない場合
3000万控除と住宅ローン控除の金額が明らかに違えば迷いません。
一方で、
差が少なければ他のことも加味して検討が必要です。
たとえば、住民税の控除上限や、地方自治体の手当などです。
■住宅ローン控除により住民税が減るのはMax136,500円
住宅ローン控除は、年末調整や確定申告をしたときに、
所得税から控除されます。
所得税から引ききれない場合は、住民税から控除されるのです。
しかしこれに上限があります。
住民税から差し引く住宅ローン控除の税額は、
・課税総所得金額等×7% (最大136,500円)
なのです。
収入に比べて多額の住宅ローンを組んでいる場合は、
住宅ローン控除を引ききれないケースが出てきます。
住民税でも引き切れなかった分については、その年で切り捨てです。
■地方自治体からの手当の支給基準への影響
例えば、児童手当や子ども医療費助成には、
所得制限限度額という基準があります。
ちなみに仙台市ホームページでは計算方法が載っています。
【児童手当】自分の所得が所得制限限度額以上かどうかはどのように計算すればよいですか?
(実際の計算に関しては、必ず自分の住んでいる自治体のホームページ等を確認してください)
この所得制限限度額を超えた場合は、1年間手当が減ってしまいます。
扶養に関係する『合計所得金額』と異なり、
所得制限限度額は3000万控除適用後の金額で判定となります。
よって小さい子供を扶養している人は、3000万控除を選んだ方が良い場合もあります。
●まとめ
上記を考えると、
住宅ローン控除を選択すると不利なように思えるかもしれません。
そもそも住宅ローン控除は10年かけて控除を受けるわけなので、
先がどうなるかわからないリスクがあります。
しかし、実際のケースでは
旧住宅の売却益がそれほど大きくなることは無く、
住宅ローン控除を受けたほうが金額的に明らかに有利、となることもしばしば。
本当にケースバイケース。
新住居を購入しても、数年後に移住したいと考えている人もいるでしょう。
金額の差が少ない場合は、
よく検討して、納得のいく方にしてくださいね。
***
≪あとがき≫
所得制限限度額は、障害者医療費助成の基準にもなっています。
関係ある方は、自分の住んでいる自治体のホームページをご確認くださいませ。
こういった手当や助成、
税金の扶養や社会保険の扶養など、
所得の基準って本当に色々ありますよね。
しかも数年ごとに改正してちょいちょい変わったり、
団体ごとの独自ルールがあったりするし・・・
網羅するのは無理なので、
自分の関わりある部分だけは
すこし意識を向けるようにすると良いのかもしれませんね。
≪あたらしいこと≫
・近所のカフェのドーナツセット
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