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2020/8/31

決算が終わり、
貸借対照表を見ると
固定負債の部の役員借入金が前期より増えている。

なぜ役員借入金は増えたのか?

おおきな理由は2つ。

   

(1)資金が不足したから

(2)不明な入金があったから

   

いずれにしても、
前向きな理由とは程遠い。

それでは詳しく見てみよう。

   

    

(1)資金が不足したから役員借入金が増えた

    

 -払わないといけなものがあるけど、お金がない。

会社の資金が不足したときには、
社長のポケットマネーから資金を補うことがあります。

小さな会社であればよくあることです。

審査なし、返済期限なし、利息なしでも借りれるのですから。

金融機関などの外部に借りるのであれば、
事業計画の見直しや資金繰りについて真剣に検討することでしょう。

しかしながら
社長が自分のポケットマネーから出してしまうと、
「資金に余裕が出たときに返してもらえばいいか」
と安易に考えてしまいます。

たとえば、
役員報酬が高すぎることが原因かもしれないのに、
払えない役員報酬の金額をそのままで継続してしまったり。。

見直しもせずにのらりくらりとやっていると
「資金に余裕が出たとき」はいつまでたっても訪れません。

それどころか、
「資金が不足した」状態が先に訪れます。

こうして社長の資力がある限りは
役員借入金はどんどん増えていきます。

  

   

(2)不明な取引があったから役員借入金が増えた

   

決算の時になって、
内容不明な入金がある。

売上ではないはずだが・・・

となると、
「おそらく社長のポケットマネーの入金だろう」とやむを得ず処理され、
これまた役員借入金が増えます。

(内容不明な取引がある時点で大問題です)

   

本当に恐ろしいのはここからで、

内容不明な出金についても
「社長のポケットマネーを返したのだろう」と
役員借入金の減額として取り扱ってしまうことです。

出金ということは、なんらかの経費である可能性も高いのです。

それを、支払時に記録しなかったせいで、
役員借入金勘定で片づけられてしまうのです。

こうして役員借入金の勘定科目が
「なんかよくわからないもの」のごみ溜めのようになり、

このずさんな経理状況が続けば
ますます役員借入金が膨れ上がります。

  

   

(3)いずれも回避することはできる

   

(1)も(2)も、回避することは可能です。

(1)の「資金が不足したから役員借入金が増えた」場合、
資金繰りを見直して、実現可能な返済予定を計画すればよいのです。

(2)の「不明な取引があったから役員借入金が増えた」は
経理の体制を整えること。
都度、取引を記録して、書類を保管することです。
自動的に支払の記録が残るようにするなども対応策のひとつです。

   

***

≪あとがき≫

役員借入金があるとダメ、ということではありません。

けれども、意図せずなんとなく増えているのはマズいです。

   

よく問題になるのは相続の時です。

役員借入金は、社長個人が死んだときの相続財産になります。

原則は額面で評価するため、
貸借対照表に載っている金額がそのまま評価額となります。

3000万の役員借入金は、
社長個人にとって3000万の財産(貸付金)があると考える。

そのとき会社が債務超過状態で、返済のあてがなくても、3000万は3000万です。

  

次回は役員借入金を減らす方法について書こうと思います。

   

≪あたらしいこと≫
・Google Keep
・サイダーゼリー作り(こどもに「おいしくない」と言われました)

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