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2020/3/25

法人の減価償却は『任意償却』である。

これは、
法人税法 第31条第1項に定められている。

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする

   

語尾は「・・・に達するまでの金額とする」だ。

上限だけが決められている。

それ以下の金額なら問わないのだろうか。

    

誰かが言った。

「自由に決めていいんじゃないの」

え?

本当に・・・?

    

     

●任意償却ってなんだろう

     

前回、『個人は強制償却』についてお話ししました。

減価償却費は、
税法で定められた償却方法・耐用年数により計算し、
個人事業主の場合は、この計算による金額をそのまま必要経費にするのでした。

それでは、法人はというと、
税法により計算した金額を上限として
経費に入れる減価償却費を自社で決めることができます。

これを『任意償却』といいます。

図で見てみましょう。

    

税法の減価償却費が30である場合、
30を超えた部分については、
税法上は経費になりません。

決算書の減価償却費が40なら、そのうち10は経費になりません。
決算書の減価償却費が50なら、そのうち20は経費になりません。

一方、決算書の減価償却費が30以下の金額である場合、
10、20、30ならば
決算書の減価償却費の金額をそのまま経費にできるということです。

     

●”利益調整してもいい”ということではない

     

「赤字だから減価償却費を減らそう」といって
決算書の経費を減らしても、税法上の罰則はありません。

・減価償却費を減らす
 ↓
・経費が減る
 ↓
・利益が増える
 ↓
・支払う税金が増える

ということになるので、税金をたくさん払ってほしい税務署側はおとがめなしです。

ですが、
法人税法の大原則である第22条では、
法人の所得計算について、

一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

と定めているのです。

この、”一般に公正妥当と認められる会計処理の基準”には
利益調整のために減価償却を自由に増減してもいいなんてことは書いてありません。

一般に公正妥当と認められる会計処理の基準では、
適正な費用配分をするために
減価償却は所定の減価償却方法に従い、計画的・規則的にやりましょう、とうたっています。

先ほど
「法人はというと、
税法により計算した減価償却費を上限として
経費に入れる金額を自社で決めることができます。」と述べました。

自社で決めることができるのは、
”公正妥当な会計基準によった計算の範囲内で”という風に考えたほうがいいと思います。

    

***

   

融資を受けているときは、
決算書上で利益が出ていたほうが銀行受けが良いのはもちろんです。

だからといって、
減価償却をわざと少なくして利益が出ているように見せかけても
銀行は全てまるっとずばっとお見通しです。(懐かしい表現)

むしろ印象が悪くなるだけみたいですよ。

あ、TRICK観たくなってきた。。

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