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2021/5/16
父が亡くなり、
遺産分割協議で
母が現金を相続、子が賃貸マンションを相続することにした。
賃貸マンションにはローンが残っていたが、
これは賃貸マンションを相続する子が相続することにした。
こんな感じの遺産分割があったとします。
ローン付きの賃貸マンションがあったら、
「その賃貸マンションを相続する人がローンも引き受ける」と考えるのが一般的かと思います。
しかしながらここには注意が必要です。
●原則:債務は法定相続人が相続分により相続する
民法上、原則として、
債務は法定相続人が相続分により相続するものとされています。
(ただし遺言による相続分の指定や負担付贈与の場合を除きます)
遺言や遺産分割協議だけで「ローンは誰が引き受けるか」を確定できるものではない。
なぜでしょうか?
お金を貸している銀行(金融機関)の立場になって考えてみましょう。
身内の話し合いで、お金をあまり持っておらず返済してくれなさそうな人をローンの引受人に決めて
「この人が残りのローン返済しますから!」
と言われても困りますよね。
「勝手に決めないでくれます?本当に返せるんですか?」
となるかと。
●事前に銀行の承認をもらう
改正後民法の条文は次のようになっています。
(相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使)
第九百二条の二 被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、
前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。
ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。
これは、相続人の視点からでは、
銀行に承認を得なければ
相続人全員が相続分に応じて「お金返して」と銀行から請求されてしまう。
ただし、
遺言による相続分の指定があり、銀行が承認したときは、
その指定相続分に応じて「お金返して」と銀行から請求される。
ということになります。
遺産分割協議により、ローンの負担者を決めた場合も、
銀行に事前の承認を得る必要があります。
(そうでないと相続分に応じて「お金返して」と銀行から請求される)
ローンを相続するときは、お金を貸している人からもちゃんと承認を得ましょう。
***
≪あとがき≫
先日受けた研修でこの債務の話が出て、
「たしかに銀行に事前確認するの忘れるのありそう」と思いました。
住宅ローンの場合は、たいてい団体信用生命保険に加入しているでしょうから、
もともとのローン負担者(最初の例だと父親)が亡くなればローンはチャラになります。
もちろん手続きは必要ですが。
いずれにせよ亡くなった人にローンがあれば
相続人のかたは銀行に連絡が必要ですね。
≪さいきんのあたらしいこと≫
・iPad & Apple Pencil
・Notability(PDFにメモできるアプリ)
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