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2020/5/13

先日のブログで、
賃貸物件のオーナーが、テナント家賃を減額した場合、
コロナ復旧支援のため等の条件を満たせば、
寄附金として取り扱わない、ということを書きました。

(次の補正予算案で、家賃補助の支援案が出ていますが)

では、

寄附金として取り扱われるとどうなるのかというと。

そのほとんどが、税金計算上の経費として認められない。

会計処理上は、
 寄附金/現金 ○○円
として仕訳することになるけれども、

法人税を計算するときに、利益に足し戻して調整されます。

※以下、一般の株式会社や合同会社を想定して記載しています。

   

    

●寄附金には種類がある

    

ひとくちに”寄附金”といっても色んなものがあります。
税金計算上は、その寄附金の支払先や内容に応じて、
区分して取り扱います。

(1)国または地方公共団体に対する寄附金、財務大臣が指定した寄附金

これは全額が経費OKです。

  

(2)特定公益増進法人等に対する寄附金

社会福祉法人や公益財団法人、認定NPO、認定特定公益信託などに対する寄附金です。

これは支払額のうち、次の算式で計算した金額まで経費にできます。

〔資本金等の額 ×12分の当期の月数×1000分の3.75+ 所得の金額 ×100分の6.25〕×2分の1

少し経費にできる、というイメージです。

   

(3)一般の寄附金

(1)(2)(4)に該当しない寄附金です。

これは支払額のうち、次の算式で計算した金額まで経費にできます。

〔資本金等の額 ×12分の当期の月数×1000分の2.5+所得の金額×100分の2.5〕×4分の1

わずかに経費にできる、というイメージです。

   

(4)完全支配関係がある法人、国外関連者に対する寄附金

これは税金計算上は、一切経費になりません。

   

    

●税金計算上の経費として認められないというのは?

    

なぜほとんどが経費として認められないかというと、
寄附金は見返りがなく、ビジネスとの関連性が薄いと考えられているからです。

よって、なんでもかんでも認めるわけにはいかず、
法人税を計算するときに制限を置いているのです。

(広告宣伝費、見本品費、交際接待費、福利厚生費となるものは除きます)

賃貸物件のオーナーである法人が、
コロナからの復旧支援を理由にテナントの家賃を減額した場合、
それが条件を満たしていなければ、
上記(3)一般の寄附金に該当します。

一般の寄附金に該当した時の具体例を見てみましょう。
【例】
資本金:5,000,000
当期税引前利益:2,000,000
会計上経費のうち、一般の寄附金:700,000

■一般の寄附金のうち、税金計算上の経費になる金額

{5,000,000×12/12×2.5/1000+(2,000,000+700,000)×2.5/100}×1/4=20,000

■寄付金のうち、経費として認められない金額

700,000-20,000=680,000

■当期法人税等(30%として計算)

(税引前利益2,000,000+寄附金のうち経費として認められない金額680,000)×30%=804,000円

このように、寄付金のうち経費として認められなかった部分を利益に足し戻して税金を計算するのです。

   

    

●寄附金に見返りを求めてはいけない

    

さきほどの例では、寄附金700,000円のうち、20,000円しか税金計算上の経費とはなりませんでした。

よって「今期は黒字だったから寄附金支払で、節税しよう!」
とかは無意味なわけです。

今回、コロナ復旧支援の家賃減額は
条件を満たせば、寄附金として扱われないわけですから、
その条件をきちんと満たすことが大事になります。

    

    

***

5月になってから問い合わせなどが増えています。

問い合わせが重なる時期、というのはありますね。

みんな動くときは一緒なのだなあ。

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