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2020/4/20
夢のマイホーム購入後、
自分で事業を始めて
マイホームの一部を事務所や店舗などとして使うことになった。
そのマイホームの税金はどうなる?
この先どうなるかわからないけれど、
自宅兼事務所の状態がずっと続いたら・・・
眠れない夜を過ごす前に(そこまでではないかもしれないが)
所有時、売却時、相続時、という
それぞれの時点でどんな税金の制度があるか、ざっくり見てみよう。
生活の基盤である住宅については優遇税制がある。
優遇税制が受けられれば、
税金が減ったり、税金がかからなかったりするわけだ。
しかし住宅として使っていない部分に関しては
当然ながらその住宅優遇税制は使えない。
よって事務所等として使う部分はお得感は薄くなることもあるけれど、
全てがそうなわけではない。
●自宅兼事務所の所有時
(1)と(2)は事業用割合が大きいと不利になります。
(3)は事業用に使ったほうが有利な部分です。
(1)所得税の住宅ローン控除
住宅ローンを組んでいれば、住宅ローン控除を受けることができます。
しかし、事務所や店舗として使っていれば、その割合に応じて
住宅ローン控除が減額します。
さらに、2分の1以上を事務所や店舗として使用した場合は、住宅ローン控除は一切受けられません。
(事務所や店舗としての使用部分が10%以下なら住宅ローン控除は満額受けられる)
(2)固定資産税の住宅用地と新築住宅の軽減特例
住宅の敷地となっている土地や、新築住宅の建物については、固定資産税が軽減されます。
しかし、2分の1以上を事務所や店舗として使用した場合は、軽減額が少なくなったり、ゼロになります。
(3)自宅建物の減価償却費等を必要経費に
事務所や店舗として使用している部分については、
建物の減価償却費や諸費用を事業の必要経費にできますので、個人事業主なら所得税が減り、法人なら有償で貸せば法人税が減ります。
●自宅兼事務所の売却時
(1)と(2)は売却益の特例、(3)は売却損の特例です。
いずれも事業用部分に優遇はありません。
(1)所得税の売却益3000万特別控除
住宅を売って利益が出た場合、3000万円までの利益については税金がかかりません。
しかし、事務所や店舗として使っていれば、
その使用割合に応じた利益については特別控除が受けられず、税金がかかります。
(事務所や店舗としての使用部分が10%以下なら、全体を居住用として特別控除が受けられます)
(2)所得税の10年超所有住宅の売却益軽減税率
所有期間10年超の住宅を売って利益が出た場合、6000万円までの利益については税率が、20%(所得税15%+住民税5%)のところ、
14%(所得税10%+住民税4%)に軽減されます。
しかし、事務所や店舗として使っていれば、
その使用割合に応じた利益については軽減税率が受けられず、20%(所得税15%+住民税5%)の税率となります。
(事務所や店舗としての使用部分が10%以下なら、全体を居住用として軽減税率が受けられます。(1)との併用も可能です)
(3)所得税の5年超所有住宅の売却損の損益通算、繰越控除
所有期間5年超の住宅を売って損失が出た場合、住宅ローンが残っているときは、
そのローン残高のうち一定額を、他の所得と損益通算できます。
そして通算しきれなかった損失は繰越して翌年以降の所得と損益通算できます。
しかし、事務所や店舗として使っていれば、
その使用割合に応じた部分は損益通算・繰越控除の適用はありません。
※買換特例は割愛しています。
●自宅兼事務所の相続時
持ち家を売却せずに所有し続け、同時に死ぬまで事業をしていたケースです。
相続は、条件に合う人が相続すれば、優遇税制を受けることができます。
あなたが所有しているマイホームを、だれが相続するか。
そしてあなたの事業をだれが引き継ぐか。
それにより、土地部分について小規模宅地等の特例というのが受けられます。
具体的には、土地の評価額が減って、相続税が安くなります。
(細かい要件は割愛していますのでご了承ください)
事業内容が、不動産賃貸等の貸付事業である場合は、評価額が他より劣るので注意してください。
(1)住宅部分の土地について(特定居住用宅地等)
住宅部分の敷地に相当する土地を、あなたの配偶者や同居親族等が相続した場合は、その土地の評価額が80%減額されます(上限330㎡)。
(2)事務所や店舗として使用していた土地について(特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等)
個人事業主が事務所や店舗として使用していた部分に相当する土地を、
あなたの個人事業を引き継ぐ親族が相続した場合は、
その土地の評価額が80%減額されます(上限400㎡)。
また、あなたが経営していた法人の事務所や店舗として、その法人へ貸付ていた部分に相当する土地を、
その法人経営を引き継ぐ親族が相続した場合は、
その土地の評価額が80%減額されます(上限400㎡)
(3)(2)の個人事業や法人事業の内容が貸付事業である場合(貸付事業用宅地等)
個人事業主が事務所や店舗として使用していた部分に相当する土地を、
あなたの個人事業を引き継ぐ親族が相続した場合、
また、あなたが経営していた法人の事務所や店舗として、その法人へ貸付ていた部分に相当する土地を、
その法人経営を引き継ぐ親族が相続した場合、
その事業内容が貸付事業であるときは、(2)の土地の評価額は50%減額となります(上限200㎡)
***
というわけで、持ち家を自宅兼事務所とする場合の税金について、
所有時・売却時・相続時の順番で見てみました。
住宅の方がメリットが多い気もしますが、
ところどころ、事業用でもメリットはあります。
マイホームを自宅兼事務所にするなら、
ビジネスプランとライフプランの両方を考えていく必要があるかと。
お子様の成長や自立、ご自身のリタイヤなどを絡ませて。
お家のリフォームなんかも。
頭の片隅になんとなく置いて、
ぼんやり将来を考えるときにフワッと思い出していただければと幸いです。
念のためですが、これは持ち家の話ですよ。
(賃貸住宅の話ではないです)
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