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2020/3/2

取得価額が30万円未満なら
事業に使い始めた年度に全額経費にできる、という
少額減価償却資産の特例は、
青色申告をしている中小企業者等であれば
法人でも個人事業主でも使える。

しかしこれには上限がある。

1年間の少額減価償却資産の取得価額合計が300万円まで、となっている。

この300万は取り扱い注意である。

●取得価額合計300万円の”合計”の考え方

少額減価償却資産の取得価額合計が300万円まで、
というのはどういうことなのでしょうか。

例をあげてみてみましょう。

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【例1】
25万円のパソコンを、2019.4-2020.3の事業年度で
13台購入したとします。
(これ以外に少額減価償却資産はないものとします。以下例2・3でも同様。)

この場合、12台分は少額減価償却資産の特例が使えます。
残りの1台は、特例が使えませんので、耐用年数で減価償却します。

≪2019.4-2020.3の事業年度の経費にできる金額≫
・パソコン25万円×12台=300万円(≦特例の上限金額300万円)

・パソコン25万円×1台×耐用年数に応じた減価償却率×使用期間の月数 で計算した金額

   

【例2】
28万円のパソコンを、2019.4-2020.3の事業年度で
13台購入したとします。

この場合、10台分は少額減価償却資産の特例が使えます。
残りの3台は、特例が使えませんので、耐用年数で減価償却します。

≪2019.4-2020.3の事業年度の経費にできる金額≫
・パソコン28万円×10台=280万円 (≦特例の上限金額300万円)

・パソコン28万円×3台×耐用年数に応じた減価償却率×使用期間の月数※ で計算した金額

※3台それぞれの使用期間が異なる場合は、1台ごとに計算   

    

【例3】
28万円のパソコンを、2019.4-2020.3の事業年度で
10台購入したとします。

この場合、10台すべてに少額減価償却資産の特例が使えます。

≪2019.4-2020.3の事業年度の経費にできる金額≫
・パソコン28万円×10台=280万円 (≦特例の上限金額300万円)

    

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【例3】のように、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を合計した金額が
300万以下であれば、全額をその事業年度の経費にできます。

【例2】では、上限金額300万円に収まる少額減価償却資産は、
パソコン10台の取得価額合計280万円です。

上限金額が20万円余っていますが、もう1台いれると300万円を超えてしまうので、
このケースでは280万円しか特例が使えない、ということになります。

    

●上限300万円は月割りする

    

この上限300万円、というのは1年間で300万円です。

法人の場合は、事業年度の初めから終わりまでの期間で考えます。事業年度が1年未満であれば、事業年度の月数で按分します。

個人事業主の場合は、300万を12で割ってから、業務を営んでいた期間の月数を乗じます。

法人でも個人事業主でも、開業年度は特に注意が必要です。

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【例1】
2020年6月10日に設立開業した法人。決算は3月末の場合(事業年度の月数:10月)
⇒特例の上限金額 300万円÷12×10=250万円

     

【例2】
2019年11月3日に開業した個人事業主。決算は12月末の場合(業務を営んでいた期間の月数:2月)
⇒特例の上限金額 300万円÷12×2=50万円

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月の途中から設立・開業した場合でも、開業月は
ひと月としてカウントします。

【例2】からわかるとおり、
開業から決算までの期間が短い場合は、
上限金額もかなり少なくなります。

事業年度の途中で廃業した場合も、同じように上限300万を月割します。

法人では、事業年度を変更した場合にも注意してください。

    

***
蛇足になりますが、
個人事業主でこのような月数按分があることは珍しいと思います。

先日、青色申告特別控除については月割りしないということをブログに書きました。

少額減価償却資産の特例は
租税特別措置法という政策上の臨時特例に規定されており、

法人個人問わず、対象を中小企業者向けとしているから
こうなっているのですかね?

普通の減価償却は
使用期間の月数按分ですので、
少額減価償却資産の特例上限もこのように月数按分があるのは
むしろ納得がいくような気もします。

アルフォート3つ

アイキャッチ画像は今日差し入れ(なのか?)でもらったアルフォートです。

最近チョコレートはほとんど食べないので息子にあげることにします。

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