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2020/2/27
「開業費は任意償却の繰延資産だから、いつ必要経費にしてもいい。」
「開業費は利益が大きく出たときに償却すればいい。」
そんな話を耳にしたことはないだろうか。
どうも、『開業費』については、
いつ必要経費として計上するかを選べるらしい。
だがしかし、
”いつでもいい”と言われると迷う。
利益が大きく出るのなんて、いつになるかわからないじゃないか。
なのにみんな、
必要経費にするのを先送りしたほうが
賢い選択であるかのように言う。
果たしてそうだろうか?
●任意償却の繰延資産について
個人事業主の任意償却の繰延資産には次の2種類があります。
【開業費】
不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に
開業準備のために特別に支出する費用
【開発費】
新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発
又は市場の開拓のために特別に支出する費用
これらの繰延資産はいったん資産科目にのせたあと、
償却費という形で必要経費にします。
60か月で均等に償却してもいいし、
任意(すきなとき)に償却してもいいのです。
今回は、開業費に注目してお話します。
●なぜ利益が大きく出たときに償却すればいいと言われるのか
開業費の償却を、
利益が大きく出たときにしたほうがいいと言われるのは、
所得税が累進課税の計算方式をとっているからです。
累進課税方式では、
所得が大きければ大きいほど税率が上がります。
所得=利益と考えるとわかりやすいです。
たとえば、
所得が900万から1800万の間だと、最高33%の税率で税金がかかってしまいます。
ここで、開業費を償却して必要経費に計上し、利益を下げて
所得を900万以下にすることができれば、
税率が23%に下がるのです。
こういった理由から、
開業費は最初に償却しないで、利益が出るまでとっておく、
という選択をする人もいるのです。
●開業費を初年度に償却したほうが得するケースもある
開業費を初年度に償却したほうが得するケースもあります。
それは、以下の要件を満たす場合です。
・開業費を償却しなくても、事業(or不動産)所得がマイナスになる
・給与所得がある程度に大きい
会社員を年の後半にやめて、年末に個人事業主として開業したケースなどが該当します。
この場合、
会社員時代の給与所得と、
事業(or不動産)所得のマイナスが相殺できるのです。
給与でそれなりに稼いでいた人は、
給与所得だけでも税率が高い場合があります。
それならば、
開業費を初年度に償却して事業(or不動産)所得のマイナス分を増やし、
給与所得にかかる高い税率の所得をできるだけ減らして、
還付税金を増やすことが可能です。
いつくるかわからない大きな利益より、
いまそこにある給与に充てる、
というわけです。
***
11月まで会社員で働いていて、
12月から個人事業主として開業した。
12月の売上はほぼない。
みたいな場合だと初年度の開業費全額償却が使いやすいですね。
開業費の金額にもよりますけれど。
ほかにも、任意償却はいろんな使い方があるはずです。
初年度償却したほうがいいケースの一例として、あげてみました。
本日のアイキャッチ画像は、はらぺこあおむしのぬいぐるみです。
息子のために買った(たぶん)最初のぬいぐるみです。
もうへたってきました。読み聞かせの時のわたしが肘おきにするので。。。
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