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2020/2/26
青色申告者の特典のひとつに、
青色申告特別控除がある。
青色申告特別控除は最大で65万。
この控除を受けるための要件は以下のとおり。(山林所得は割愛しています)
(1)?不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2)?これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3)?(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、
この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
※2020年分からは、
以下のいずれかの要件を満たしていない場合は、控除額が65万→55万になります。
A.その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
B.その年分の所得税の確定申告書及び青色申告決算書(平均課税の適用を受ける場合については、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」)の提出を、
確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して行うこと。
さて今回は、この65万に注目してみよう。
●年の途中で開業した、廃業した場合でも65万
青色申告特別控除の65万は、
ひとりにつき、
その年につき、
65万です。
1月1日から12月31日まで継続して事業をしていた人も、
年の途中から開業した人も、
年の途中までで廃業した人も、
同じ65万の控除が受けられます。
たとえば、12月に開業した人については
1か月しか事業をしていないのに65万の控除が受けられるというわけです。
「なんか納得いかないんですけど」
まあそうかもしれません。
納得いかなくても、
65万は月割や日割しません。
法律に「事業している期間で月割りせよ」とは書いてないんですね。法人と違って。
個人の事業年度は暦年(1月から12月)と決まっているので
なにかと年単位で考えることが出てきます。
●利益が1円でも65万円でも、事業(不動産)所得はゼロになる
さきほど青色申告特別控除の65万は月割や日割しないと申しました。
お金を払わなくていい固定経費みたいなものです。
ただし、使える上限が65万であって、65万全額を必ず使えるというわけではありません。
収入から必要経費を差し引いた利益が65万未満であれば、
その利益金額が青色申告特別控除の上限となります。
事業所得の計算の例をみてみましょう。
≪例1:収入100万、必要経費20万、利益80万の場合≫
収入100万-必要経費20万-青色申告特別控除65万=事業所得15万円
≪例2:収入100万、必要経費60万、利益40万の場合≫
収入100万-必要経費60万-青色申告特別控除40万=事業所得0円
ご理解いただけたでしょうか?
利益が65万未満であれば、
それに合わせて青色申告特別控除の使える金額も変動するので、
利益が1円でも65万円でも、事業所得はゼロになるということです。
「なんか納得いかないんですけど」
まあそうかもしれません。
納得いかなくても、
青色申告特別控除は65万以上は増えないし、
青色申告特別控除を使って所得がマイナスになることもありません。
そもそも、
65万控除を使いきれないような利益では、
事業規模と言えない可能性もあるのでは?
(開業初年度はいいとして)
●繰越はないが不動産で余った分は事業で使える
青色申告特別控除は、最初に不動産所得に充てます。
不動産所得で余った分があれば
次に事業所得に充てます。
それでも余った分があれば・・・切り捨てとなります。
次のような流れです。
(1)不動産所得の計算
収入60万-必要経費35万=利益25万
利益25万-青色申告特別控除25万=不動産所得0円
(2)事業所得の計算
収入100万-必要経費80万=利益20万
利益20万-青色申告特別控除20万=事業所得0円
(3)青色申告特別控除の余った分
65万-不動産所得での使用分25万-事業所得での使用分20万=15万円→切り捨て
こんな感じで、不動産→事業の順で使用して、残った余りは切捨てられます。
「なんか納得いかないんですけど」
まあそうかもしれません。
納得いかなくても、
余った青色申告特別控除を来年に繰越することはできません。
65万の控除を受けるために、
あなたの財布から65万出したわけではないので
必ずしも損をしているわけではないですし。
(会計ソフトの料金はかかっているかもしれませんが)
というわけで、
来年からはまた新たな気持ちで65万を使い切りましょう。
(どうぞ前向きに)
***
昨日に引き続き、控除のお話でした。
利益が1円でも65万円でも、青色申告特別控除を使えば、事業(不動産)所得はゼロなので、
利益が30万前後のときは、
経費になりそうな少額の領収書を必死でかき集めても
無駄骨になることがあります。
あ、もちろん、きちんと記帳することが一番です。
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