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2020/1/8
個人が不動産賃貸をしていて、
赤字が出た場合、
他の所得の黒字と相殺できる。
ただし、例外もある。
不動産賃貸の経費をどう見るか。
●給与所得と相殺して還付を受けようとする節税スキームは封じられる
サラリーマン(給与所得者)が
不動産賃貸(不動産所得)で出した赤字は、
基本的に、
給与所得と相殺できます。
つまり、赤字の分だけ給与が減るので
税金が減るわけです。
給与や不動産賃貸の所得税率は最高45%、住民税は10%ですから
合わせて55%。
一方、不動産売却時の税率は、所有期間が5年超なら
所得税・住民税あわせて20%です。
高所得者は、最高税率の55%ですから
不動産賃貸の赤字が100万出れば、給与所得分の黒字100万と相殺して
税金が100万×55%=55万円減ることになります。
不動産賃貸の赤字(費用)は、売却時の原価を押し下げるため、
その分売却益が出ることから、
税金は100万×20%=20万円増えます。
それでも減った税金と増えた税金を比べると、減った税金の方が35万多いというわけ。
こういった節税スキームを富裕層が利用していましたが、
封じる手立てを税務署も打っています。
順番に見ていきましょう。
●土地購入のための借入利息分
これはバブル期に流行した節税スキームだったらしいのです。
土地を買えば必ず値上がりして売却益が出るので、
ローンを使い購入して当時の高い利息を払っても
トータルで節税になった。
土地購入の利息は、
不動産所得の経費になります。
しかし現在では、この節税スキーム封じとして、
その土地借入利息により赤字になった場合に、その赤字分は
他の所得の黒字と相殺できません。
(これは、節税スキームじゃなくても
かなり古い物件をローンで購入する場合に、
購入代金の大部分が土地になってしまうことがあり、
結果的に借入利息分の赤字が発生してしまうことがあるので注意です)
●別荘などの経費
別荘などをちょろっと貸して
減価償却費やら諸経費やらで赤字を出し、
他の黒字と相殺して還付もらっちゃおう!
・・・なんてことを考えた人がいたわけですね。
この節税スキームも封じられてまして、
別荘等のように主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産の貸し付けにより
発生した赤字は、
他の所得の黒字と相殺できません。
こちらの赤字は、他の所得と相殺できない範囲が
借入利息分も減価償却費も、そのほかの費用も
別荘などにかかるものは全てとなります。
●2021年(令和3年)からは、国外中古不動産も
この前出た税制改正大綱では、
国外中古不動産(海外中古不動産)の節税スキーム封じの特例も書かれていました。
中古の建物は耐用年数が短いので
短期間で多額の減価償却費を計上できます。
つまり赤字が発生しやすいんですね。
なので富裕層にはこのスキーム人気だったみたいです。
しかしながらこの赤字も、
国外中古建物の減価償却費に相当する部分は、
2021年からは
他の所得の黒字と相殺できない、ということになる運びとなりました。
***
昨年読んだ不動産オーナー向けの本にも、
海外不動産投資が勧められていたので
すでに所有されている人もけっこういらっしゃるでしょう。
会計検査院では2016年からこの節税スキームについて指摘があったようです。
「節税になるから」だけを理由にしたものは
遅かれ早かれ封じられるものだと思っておいたほうがいいですね。
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