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2019/12/30
「逆進性」とは、
それぞれが逆の方向に進む傾向のこと。
低所得者ほど相対的に負担が重くなる場合のことなどをいう。
消費税の逆進性についてはよく言われているが、
自営業者などが加入する社会保険である国民健康保険・国民年金にも
逆進性がある。
●社会保険の逆進性とは
国民健康保険には『均等割』と『平等割』という定額部分と
所得に比例する『所得割』があります。
そして国民年金保険は月額16,410円(令和元年度)の定額部分だけで成り立っています。
これらの定額部分が、
加入対象(扶養から抜けた時など)になったときに問答無用にかかってくるため
低所得者層にとって不利になる。
これが社会保険の逆進性です。
※所得に応じた減額措置もあります
●産後に社会復帰する女性に立ちふさがる社会保険の壁
出産を機に退職してしまうと、
その後の復帰はなかなか難しい。
しかも子供が複数になると
いきなりフルタイムで復帰するのはハードルが高い。
だから家でできる仕事を
フリーランスで少しずつ始める女性が最近増えてきているように思います。
しかしそこで立ちふさがるのが社会保険の130万の壁です。
所得税・住民税は稼いだ金額に比例して負担が決まりますが、
社会保険は130万を超えると
扶養から抜けて一気に年間20万超の負担が発生します。
「稼いだせいで損をしてしまった・・・」ということが起こりうるのです。
つまり
収入が増えた分<社会保険料が増えた分
となってしまう。
130万~150万くらいが損しやすいラインです。
これが壁ですね。かべ。
●回避策を考えてみよう
5つの対策をあげました。
(1)突き抜けコース
誰にでも通じる正攻法。
稼ぐと決めて、利益が170万超えるところまで稼いでください。
170万超えたあたりから、稼いだ分だけ手取りが増えていきます。
(2)法人化する
フリーランスの事業で会社を設立して法人化する。
会社の社会保険なら、収入に比例した負担となるので
「稼いだせいで損をした」ということにはなりません。
もちろん、設立費用もかかるし、
法人はフリーランスよりランニングコストもかかります。
なので「法人の方が仕事が取りやすい」などのメリットがある場合に検討する価値があります。
(3)フリーランス+会社員
副業タイプ。
フリーランスとしてある程度収入が見込めるまでは、
会社員としても働き、会社の社会保険に加入必要なレベル(就業時間が正社員の4分の3以上など)まで勤める。
ただ2足のわらじとなるので時間に余裕が必要です。
(身内の会社などでゆるく勤務できるならかなり有効な手段ではある)
(4)国民健康保険組合に加入
業界団体で加入できる健康保険組合があります。
加入できる業種は限られていますが、国民健康保険よりは安くなる場合もあります。
(5)130万の手前で止める
まだまだ子供に手もかかるし、、、ということなら
社会保険の扶養内で抑えるのはやはり有効です。
社会保険料はゼロだし、税金の負担も少ないです。
フリーランスが収入を130万手前のベストラインで止めるのは結構難しいですが、
クライアントが固定しているなら可能な場合もあると思います。
●あなたにとって不公平なら、戦略を立てよう
法律というのは、
”みんな”にとって公平でも、
あなたにとっては不公平きわまりないことがある。
「ぐぬぬ・・・・」
と下唇をかみしめながらも
戦略を立てて切り抜けていくしかない。
使えるものは使い、
下をくぐれるようならくぐってもいい。
今回は社会保険についての話でしたが、
他でもこういうことはあるので、
戦略を練って
軽やかに切り抜けていこうじゃないですか。
***
『効率と公平を問う』という本で社会保険の逆進性について書かれていたのが
今回のブログのきっかけです。
消費税の逆進性についても触れられており、
・効率よく税収を上げたいなら生活必需品こそ高い税率にする
・公平性を考えるなら、税率を高くすべきは”教育”である
など自分では思いつかなかった学術的な視点がありました。
9年前の本ですけれども、
消費税率が上がり
軽減税率が導入された今、
現況と照らし合わせてより面白く感じられた気がします。
「はじめに」の文章がかっこいいんだよなあ。
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