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2019/12/17

「なかなか優しいじゃないか」
と思う税制が”平均課税”です。

使える業種は限定していますが、
今年いきなり印税がどかんと入った漫画家さんや小説家さん、作曲家さんや作詞家さんには
ぜひご活用を検討いただきたい。

   

今年たまたま売れただけなのに
税金で3割も4割も5割も持って行かれるのは悲しいですよね。

来年はどうなるかわからないのに・・・

なので、
たまたま今年収入が増えてしまった分は
5年かけて稼いだ、という風に税率を調整しよう、
というのが平均課税です。

   

●なぜ平均課税を使ったほうがいいか

  

今年商業誌デビューしていきなり売れてしまった漫画家さん。
収入は原稿料と印税のみで、
今年の所得が1800万だったとします。
下の図の左側の長い棒が平均課税を使わなかった場合
右側が短い5つの棒が平均課税を使った場合です。

(字が小さくてごめんなさい)

普通に税金計算したら、納付する所得税は4,404,000円です。
しかし平均課税を適用すると1,440,000円になります。
その差2,964,000円です。
※上記の図・計算はあくまで考え方のイメージです。復興税は考慮していません。

所得税は累進課税なので、
所得が高ければ高いほど税率があがります

所得が195万以下なら5%ですが、
900万~1800万の間は33%です。
所得1800万の人が普通に計算すると、
所得の半分が税率33%となってしまいます。

平均課税を使えば
所得1800万を5年かけて稼いだ、と考えます。
360万×5です。

360万の所得税額は、次のように計算します。
・195万までの税率は5%だから、195万×5%=97,500円
・195万から330万までの税率は10%だから、(330万-195万)×10%=135,000円
・330万から695万までの税率は20%だから、(360万-330万)×20%=60,000円
合計:292,500円

ということは、所得360万の税率は実質的に
292,500円÷3,600,000円=約8%
になります。

よって平均課税を用いて所得税を計算すると
360万×8%×5=1,440,000円
となるのです。

   

●平均課税を使える条件があります。

  

その1.変動所得・臨時所得に該当しているか

平均課税を使用できるのは下記の変動所得か臨時所得に該当する所得に限られています。

変動所得≫
事業所得や雑所得のうち
・漁獲やのりの採取による所得
・はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得
印税や原稿料、作曲料などによる所得

≪臨時所得≫
事業所得や不動産所得、雑所得のうち、次の所得やこれらに類する所得
・契約締結時にもらうお金で、3年以上専属の役務提供、かつ報酬年額の2倍以上のもの
・契約締結時にもらうお金で、3年以上の不動産等・工業所有権などを使用させる権利金、かつ使用年額の2倍以上のもの
・業務休止等の間の売上の代わりとして受け取る3年以上の補償金

その2.変動所得は前年・前々年平均より多いか

今年の変動所得 > (前年変動所得+前々年変動所得)÷2

その3.変動所得・臨時所得は総所得金額の20%以上か

(今年の変動所得-前年・前々年変動所得の平均)+今年の臨時所得 > 総所得金額×20%

   

●平均課税を使うときの注意

  

平均課税を使って税金を計算するときは、
変動所得・臨時所得となる収入・費用と
それ以外の収入・費用を分けておく必要があります。

収入が複数ある方は
あらかじめ分けて帳簿を付けておくといいと思います。

また、実際に使うときは
申告書と一緒に「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」を提出する必要があります。

   

***

   

というわけで、平均課税でした。

なんていうか、好きですね。(告白)

考えた人えらい。すてき。

くすぶっていた期間の努力も少しは報われるじゃないですか。

ね。

   

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