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2014年3月28日

ついこの前、生命保険の見直しプランを保険会社の方から提案されました。
保険の書類は本当に細かい。
もしものときを想像して判断しなければならないところが悩ましい。

利益の出ている会社は保険で節税対策を図ることがあるようですが
あちらは本当に節税になってるのかか悩ましい。
というか疑わしい。

通称「逆養老」または「逆ハーフタックス」と呼ばれる保険商品があります。
「養老保険」とは満期or被保険者の死亡により保険金が支払われる生命保険のことです。

まず、通常の養老保険の「ハーフタックス」では
・契約者:法人
・被保険者:役員・従業員
・満期保険金の受取:法人
・死亡保険金の受取:役員・従業員の遺族
というように契約します。

この場合、税務上の取り扱いは通達に出ています。
(養老保険に係る保険料)
9-3-4
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該法人である場合
その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。
ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、
当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

支払保険料の1/2を積立保険金として資産計上。
残り1/2は保険料か給与として費用計上。
ということになります。

そして、この受取人を逆にするのが「逆養老」です。
・契約者:法人
・被保険者:役員・従業員
・満期保険金の受取:役員・従業員
・死亡保険金の受取:法人

この取り扱いに関しては通達に明確な取り扱いは出ておらず、
実務上は
1/2を保険料として費用計上。
残り1/2を給与として費用計上。
という処理をする場合が多いようです。

なんと、受取人を逆にするだけで、全額が法人の費用に!
(個人には給与課税があるのですが)

さらにこの保険が満期になると役員・従業員が保険金を受け取りますが、
これは個人の一時所得として課税されます。

一時所得の課税計算は
(受取保険金-支払保険金-特別控除額50万)÷2=課税一時所得額
というふうにします。

これを逆養老に当てはめたとき、
支払保険金はもちろんその個人が負担した部分(給与課税された金額)になりますけれども、
平成24年の最高裁判決があるまで、
法人が負担した分も一時所得計算上の支払保険金に含まれるものと解される通達が出ていたのです。
(今は訂正されています)

つまりは法人で費用計上した部分が、
個人でも費用計上され、
二重経費計上となっていたのです。

常識的に考えて、そんなことが通るはずはなく
最高裁がバシッと2年前くらいに言ったわけですね。

しかしながら、
そもそも一時所得というのは最後に÷2をするので、税負担が少ないのです。
また、5年以下で満期・解約となる養老保険は、
金融類似商品として一律20.315%で所得税が課税されます。
つまり、最高税率よりずっと低いのです。

これを考えると
最高裁判決後も高額所得者にとっては
まだまだ養老保険は有利のような気がします。

でも、その前に支払保険料を給与課税されているのですから
ほんとに有利なの?
資金繰りが悪化して中途解約したら
それまでの給与課税分の税金が無駄になるのでは?
そもそも支払った金額が節税金額+満期保険料を上回るんじゃないの?
などなど疑問が生じます。

節税のために保険を使って、、、
というのがそもそも経済的合理性に欠けていますよね。

なので節税保険はオススメしません。

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