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2022/8/16
相続した土地を手放せる制度が創設された。
正式名称は『相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律』である。
通称は「相続土地国庫帰属制度」だ。(固い)
この制度の開始は、来年2023年4月27日スタート。
というわけでまだ始まってない。
始まってはいないが、制度スタート前に相続した土地も対象となる。
この相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地の問題解消のために作られた制度のひとつ。
所有者不明土地とは、
登記簿を見ても誰の土地かわからなかったり、所有者に連絡が付かない土地のこと。
現在、日本全体の土地の22%ほどあり、九州の面積くらいあるのだとか。
所有者不明土地があると、公共事業や民間取引の妨げになったり、
隣接する土地への悪影響があったり、それはもういろいろと問題になっている。
所有者不明土地の発生原因の6割以上は、相続登記がされていないこと。
よって、発生原因を断つためのひとつの手段として、
個人が相続した土地の所有権を国へわたすことができるように、
相続土地国庫帰属制度が創設された。
しかし、相続した土地をなんでもかんでも受け付けてくれるわけではない。
手放しでは手放せない、というわけだ。(これが言いたいだけだ)
こういった土地は受け付けてくれない。
↓↓↓
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(1) 申請をすることができないケース(却下事由)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(個別判断による不承認事由)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
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4つ目あたりからはもう、だれもが手放したい土地である。
こういった面倒な土地はダメなのだ。
もっとも、所有者不明土地の問題解決のために創設された制度なのだから、
所有者不明以外の問題まで広く解決しようというものではないのだろう。
さらに、申請手数料と10年分の土地管理費相当額の負担金も支払う必要がある。
この負担金は、土地の種類や面積に応じ約20万円-約80万円の見込みだ。
とはいうのものの、
負担金を含め、細かいことはまだ決まっておらず、現在意見募集中である(2022/9/4まで)。
◇参考:e-govパブリック・コメント「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令案(仮称)に関する意見募集」
ちなみに、相続税や所得税での取り扱いも決まっていない。
令和5年度税制改正で示されるのかどうかもわからない。
この相続土地国庫帰属制度、
個人的には、粗大ごみの回収に似ていると思っている。
低い負担金で不要な土地を回収してあげる行政サービス。
なので税金面で特に優遇すべきものでもないのでは、と。
相続税については、申告期限までに法務局へ承認申請すれば、寄付したときと同じように非課税にするのかもしれない。
後日却下だったら修正申告して、、、といった感じか。
もともと、土地を自治体に寄付するというケースはあったけれど、
断られることのほうが多いらしい。
今回、国が受け入れる制度ができたことで、少しは道が開かれたのかもしれない。
***
≪あとがき≫
不動産登記推進イメージキャラクターの「トウキツネ」、かわいいですね。
「トウキング」よりは「トウキツネ」でよかったなと思います。
(真心ブラザーズしか浮かばないから)
アイキャッチ画像のキツネは宮城蔵王キツネ村で買った息子の所有物です。トラザメのフィギュアも。
≪さいきんのあたらしいこと≫
・欅と杜と バームクーヘン(インドから来日した夫の友人からの仙台土産)
・Renderforestのロゴメーカー(漢字は難しいんだな)
・無印良品のカレーデニッシュとスコーン
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