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2024/11/4

上の画像は、マインクラフトで作った家です。ちなみにマイクラは上手くありません。

  

さて、

個人事業主が事業用資産を売ったときの特例に、
『特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例』があります。
(法人でも同内容の特例があります)

  

この特例を使えるケースが何パターンかあり、
最も使いやすいのが
10年超保有する事業用資産を売却し、代わりに新しい事業用資産を取得するケース

  

原則として売却益の80%分の課税を繰り延べすることができます。

賃貸不動産の買換えで利用されることが多いのではないでしょうか。

  

このまえ調べていたときに

「このケースは何号だっけ?」

となり、
少しネットで検索すると「9号」と書いているものもあれば「7号」や「3号」と書いてあるものもある。

そこで変遷を追ってみました。

  

■2024年現在は3号

『特定の事業用資産の買換え特例』は昭和45年からあり、租税特別措置法37条1項に規定されています。

e-Govで確認したところ平成29年以降の履歴が確認できました。

  • 2017年(平成29年):9号
  • 2018年(平成30年):7号
  • 2019年(令和元年):7号
  • 2020年(令和2年):6号
  • 2021年(令和3年):4号
  • 2022年(令和4年):4号
  • 2023年(令和5年):3号
  • 2024年(令和6年):3号

  

上記のように、

平成29年のときは9号だったのが、7号→6号→4号→3号(2024年現在)となっています。
なので現在は租税特別措置法第37条第1項第3号に規定されている、ということです。

(法人は租税特別措置法第65条の7第1項第3号)

  

個人的には10年超保有の買換特例は9号のイメージが強いです。
私が税理士試験の勉強をしていたときは、この買換特例は10個あって、
下から2つ目が10年超保有、そして1番下が船舶。
2024年現在も下から2つ目が10年超保有で1番下が船舶です。

   

■3号には届出要件に改正あり

2024年(令和6年)4月1日以後の売却については、届出要件に改正がありました。
(東京⇔地方の課税繰延%も改正あり)

  

この特例は、売却年の前年・当年・翌年のいずれかに代わりの資産を取得すればよく、
改正前は前年・翌年の取得について届出書等が別途必要でした。

そして改正後は、
当年(売却年と同じ年に取得)でも事前の届出書が必要
になったのです。

========================
【改正後の取得年と届出書等】
前年:『先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書

当年:『特定の事業用資産の買換え特例の適用に関する届出書』←New!

翌年:『買換(代替)資産の明細書』

========================

しかも、当年取得の場合の『特定の事業用資産の買換え特例の適用に関する届出書』は、提出期限が特殊で、
売却日or取得日のいずれか早い日を含む三月期間の末日の翌日から2か月以内
とされました。

参照:国税庁 A4-8 特定の事業用資産の買換えの特例の適用に関する届出(令和6年4月1日から)

なぜ要件が追加されたのか?

それは、多数の物件を売買する事業者が、申告をするときになって事後的に売却・取得の不動産を組み合わせて特例を利用するという実態があったからだそう。
特例の目的である土地の有効利用促進等から外れてしまうため問題視され、改正に至りました。

取引数が多ければ、後から「コレとアレならいけるじゃん!」みたいなことは確かにありそう。

(でもそれが問題なら届出書を追加してまで残す必要があったのかしら)

この特例は、令和8年3月31日までの譲渡について適用されます。

  

■蛇足

届出要件のほかにも特例を適用するための要件はあるので、使えそうで使えなかったり。
というのが小規模事業者の実際のところではないでしょうか。

土地は300㎡以という要件もあるので、それなりの大きさが必要です。
建物だけ利用するにしても、毎年の減価償却費が減る影響を考慮すると節税効果はイマイチだったりします。

売却できた年にちょうど良いタイミングで好条件の物件が取得できるかというとそうでもなく。

多くの場合は不動産屋さんの売り文句の1つになっているだけのような気も・・・?

   

  

***

≪あとがき≫
私の中ではこの特例は9号という認識だったので、
号数が異なっている情報を見て
「これはあの10年超所有の特例のことを言っているのか???」と不安になったのでした。

≪さいきんのあたらしいこ≫
・時代小説(『童の神』を読んでいます。歴史ものは得意じゃありませんがこれはおもしろい)

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