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2020/4/7

   

資格取得費のなかでも、
弁護士、会計士、税理士といった国家資格の取得費用についての話である。

現状において、
個人事業主の必要経費とするのは難しい。

国家資格というのは、
事業ではなく、個人に帰属する。

その資格をどのように使うかどうかは、その人次第。

たとえば「その資格を使って転職することも可能だから」ということが言われる。

しかしながら、
資格取得により、個人事業主の事業内容が拡大・充足されることはある。

だから、一概に、全部ダメ、というわけではないのではないだろうか?

   

●そもそも必要経費というのは

     

個人事業主の必要経費というのは、所得税法37条第1項に規定されています。

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上 必要経費に算入すべき金額は、
これらの所得の総収入金額に係る売上原価
その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額 及び
その年における販売費、一般管理費
その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。

(簡略化しています)

     

必要経費に含まれる家事関連費については、所得税法施行令96条に規定されています。

(1)家事上の経費に関連する経費の主たる部分が
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、
その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費

(2)(1)のほか、青色申告書を提出する者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、
取引の記録等に基づいて、
不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上
直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

    

さらに、96条第1項の「業務の遂行上必要な部分」について、所得税法基本通達45-2で補足されています。

令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、
その支出する金額のうち
当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。
ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、
その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、
当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

つまり、
プライベートとビジネスの費用が混ざっている家事関連費については、
ビジネスで必要な部分が明らかに区分できれば、必要経費に算入できる、ということが読み取れます。

    

●直接必要じゃないとだめ?

    

さきほど、家事関連費でも区分が明らかなら必要経費にできるということがわかりましたが、

別の通達では、研修費などは直接必要じゃないとダメといっています。

【所得税法基本通達37-24】 
業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が
当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、
当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する。

   

資格取得費も、”技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用”に
含まれるものと考えられますが、
業務の遂行に直接必要」 という縛りが加えられています。

    

ところで、
通達というのは法律じゃありません。
税務署内で「この法律はこう解釈する」というものであって、税務署の人は従う必要がありますが、
納税者が従わなくてはならないものではないです。

ということは、
業務の遂行に直接必要」という縛りを加えているのは法律じゃなくて税務署ということでしょうか。

     

●裁決でアウトになった例

    

(その1)平成29年12月の国税不服審判所の採決
接骨院を営む事業者の柔道整復師の資格取得費用は必要経費にならない、とされました。
柔道整復師学科夜間部3年制に通い、3年間で270万ほどの費用がかかっています。

この方、ご自身は資格を取るまでは資格不要の整体業等の施術をしており、
免許のいる部分(柔道整復師業の施術)は、従業員で有資格者の人が行っていたようです。

資格取得後は、ご自身も柔道整復師業の施術を行っていたらしい。

(その2)平成27年4月の国税不服審判所の採決
旅館業および不動産貸付業を営む事業者の、
宅地建物取引業者の免許取得費用は必要経費にならない、とされました。
こちらは取得費用は明らかにされてません。

こちらも、資格取得後は、協会への免許申請や弁済業務保証金の供託等に関する手続は行っており、
宅建業も営んでいたとのことです。


        

いずれの採決も「なぜ必要経費ではないか」ということについて同じ理由が語られています。

    

人の資格は、国の法律に基づいて特定の職業に従事することができる資格であり、
また、法律によって一定の社会的地位が保証されることからすると、
人の資格の取得に要した費用は、
業務に間接的に有効、有用であっても、
その主たる目的が新しい地位や職業を獲得するための教育費として、
家事費に該当するものであり、
必要経費に算入することはできない。

     

全く同じ内容なので、過去の採決や判例であったものなのでしょう。
(源泉が調べられませんでしたが)

”業務に間接的に有効、有用”とは認めつつも、やっぱりだめーと。。

     

●特定支出控除との関係

    

資格取得費が個人事業主の必要経費となるかどうかについて、
引き合いに出されるのが、
給与所得者(サラリーマン)の特定支出控除です。
平成25年分から、特定支出に資格取得費が含まれるように改正があったからです。

    

さきほどの柔道整復師の採決でも、
「特定支出控除では資格取得費を給与所得の必要経費として認めてるじゃないか」という納税者側の主張がありました。

それに対しては、以下のような判断文となっています。

     

①給与所得者の特定支出控除制度は、
雇用主の指揮・監督下にある給与所得者が、
勤務することに伴い支出を余儀なくされる項目について、特例として創設された制度であること、

②本件改正により、資格取得費が特定支出の範囲に追加されることになった理由は、
就労の多様化に伴い,上記資格を得ながら企業等で勤務する者が増加しているといった
勤務形態の変化に対応したという点だけでなく、
適用件数の非常に少なかった特定支出控除制度の機会拡大を図るという点にもあることが認められ、
これらに照らせば、
本件改正は、資格取得費が給与所得を得るための必要経費であることを認めたものとまではいうことができないし、
事業所得の計算上、資格取得費を必要経費に算入することを根拠付けるものということもできない。

       

サラリーマンが資格取得費を特定支出控除に入れるには、
給与を支払う会社が、
”職務に直接必要な資格を取得するための支出”と承認する必要があります。
なので、資格を得る本人(サラリーマン)じゃなくて、
会社が決めることにより客観性を保っているのかもしれません。

しかし特定支出控除制度の機会拡大を図るために認められているのであって、
資格取得費が給与所得を得るための必要経費であることを認めたものとまではいうことができない、
というのは、、、納得できません。
同じ所得税法の中で、取り扱いが異なるのは公平性に欠けるものだという気はします。

    

●やはり現状は難しそうだ

       

とはいっても
個人事業主が国家資格等の資格取得費を必要経費に入れるのは
現状はやはり難しそうです。

当然ながらその取得費が業務に直接必要であるものならばOKなわけですし、
業務に必要な部分が明確に分けられるようなら、その部分だけ必要経費に入れられる可能性はありますね。

資格というのは、長期的に活かされることが多いです。
今の事業だけに絞って”直接必要”かどうかと判断するのは、馴染まないようにも思います。

繰延資産とかにしたらどう?みたいな話も聞いたことがありまして、
割といい案なのではないかと感じました。

なんだかんだいって、高額だから問題になるんだよなあ。。。

(自分もT〇Cにいくら払ったことだろう・・・)   

    

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今年の春は、いつもと違いますが、
何か新しいことを始める・始めた人も多いのではないでしょうか。

セミナー講師をしていた方から以前聞いた話では、
4月、9月、1月は動き出す人が多いようです。

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