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2020/1/27

1月下旬に、
証券会社から郵送で「特定口座年間取引報告書」が届く。

報告書の右上が源泉徴収”あり”となっていれば、
すでに必要な税金は天引きされているので確定申告をしなくてもいい。

つまり、源泉徴収”あり”の特定口座の収支を
申告しないことは間違っていない。

間違っていないので、
あとから「間違えていました」とやり直すことはあり得ない。

ここがポイントだ。

例えば、
A証券会社では株式譲渡利益が50万出ており、B証券会社では株式譲渡損失が30万出てたとする。
異なる証券会社なのでこのままでは損益を通算することはできない。

このケースでは
確定申告でAとBの損益を通算することにより
20万(=50万-30万)があなたの株式譲渡利益ということになる。
よってA証券会社の利益から天引きされた税金のうち、
B証券会社の損失に対応する税金45,945円(=30万×15.315%)の還付を受けることができる。

ところがあなたは、
源泉徴収”あり”の特定口座については確定申告しなくてもいいので、
3月15日までに確定申告しなかった
(あるいは3月15日までに提出した確定申告書に記載しなかった)。

そこで、
あとから「やっぱり申告をやり直したい!」と税務署に行ったところ
受け付けてくれない。

なぜなら、
あなたが源泉徴収”あり”の特定口座について確定申告しなかったことは
間違っていないから
である。

申告を訂正する場合、
税金の世界では「更正の請求」や「修正申告書の提出」という手続きをする。
これらはあくまで「間違いがあったとき」に行う手続きに過ぎない。

間違っていないものを直すことはできないのだ。

   

●損失が出ているか?

   

というわけで、
源泉徴収”あり”の特定口座における申告不要制度には注意が必要です。

基本的に、確定申告したほうがいいのは
譲渡損失が出ている場合。

上場株式等の譲渡損失は確定申告することを条件に
3年間繰越できますので、
来年以降に出た利益と相殺できます。

また、複数の証券会社で口座を開いている場合に、
利益が出ている口座と損失が出ている口座があったら損益通算できるので、
確定申告することを検討したほうがいいでしょう。

   

●国民健康保険(または後期高齢者医療制度)の場合は注意

   

「じゃあ、とりあえず全部申告しておけばよいのでは?」と考えると
健康保険料が上がってしまう場合があります。

国民健康保険(または後期高齢者医療制度)に加入している人は、
株式譲渡の利益も含めた全ての所得を基準に保険料の金額が決定されるからです。

こういった場合は、
住民税だけ申告不要の選択をすることもできます。
以前ブログに書きましたのでご参照ください。

ちなみに、
サラリーマンの人は会社の給料により健康保険料が決まっているので
とりあえず全部申告しても
株の利益が健康保険料に影響を及ぼすことはありません。

   

●利益が出ている場合でも申告したほうがいい人もいる

   

全部の証券会社の口座で利益が出ていれば、確定申告する必要はありません。

しかしながら例外もあります

それは、所得控除が余っている人、です。

所得控除というのは、
生命保険料控除・社会保険料控除・医療費控除・寄付金控除・扶養控除・基礎控除などのことを指します。

これらの所得控除は、
最初に事業所得や給与・年金などの総合課税の所得から差し引きます。

総合課税の所得から差し引いても所得控除が余っていれば、
株式譲渡などの分離課税の所得からも
差し引くことができます。

ただし、家族の扶養に入っている場合は、
所得が大きければ扶養から外れることになりますので
そこは注意してくださいね。

   

●郵送で届かない人も報告書の確認を

  

「特定口座年間取引報告書」が電子交付のケースも増えました。
インターネットで証券会社の自分のアカウントにログインすれば
PDFで出せるようになっているわけです。

けれども、確定申告までに
去年利益が出たか損失出たか確認しないまま放ってしまう人もいそうですよね?

申告不要の制度は、
”お得”ということでもないので、
ログインして損失が出てないか確認してくださいね。

   

***

   

前書きのケースでは
損失口座だけを申告して損失繰越をすることもできます。

特定口座が複数あって、かつ国民健康保険加入者の場合は
どう申告するのがベストか、
判定するのが難しいときもありまして、私も結構悩みます。

ちなみに、NISA口座内の株式等は利益も損失も非課税ですから
今回のブログは気にしなくていいですよ。

    

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