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2019/7/27

仙台も暑くなってきました。こどもの汗疹と戦う季節・・・

さて今回は事業所税の話です。
事業税じゃないです。事業所税です。

 

●そもそも事業所税とは

事業所税とは、ざっくり言うと
大きい市に住んでる大きめの事業者に対して課税されます。

 

【対象の地域】
事業所税の課税団体 77団体 (平成30年11月30日現在)
東京都(特別区の区域)
指定都市(20市)
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市、新潟市、静岡市、
浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、
熊本市
首都圏整備法による既成市街地を有する市(3市)
武蔵野市、三鷹市、川口市
近畿圏整備法による既成都市区域を有する市(5市)
守口市、東大阪市、尼崎市、西宮市、芦屋市
人口30万人以上の政令で指定された市(48市)
〔北 海 道〕 旭川市
〔東北地方〕 秋田市、郡山市、いわき市
〔関東地方〕 宇都宮市、前橋市、高崎市、川越市、所沢市、越谷市、市川市、船橋市、
松戸市、柏市、八王子市、町田市、横須賀市、藤沢市
〔中部地方〕 富山市、金沢市、長野市、岐阜市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、
豊田市、四日市市
〔近畿地方〕 大津市、豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、姫路市、明石市、奈良市、和歌山市
〔中国地方〕 倉敷市、福山市
〔四国地方〕 高松市、松山市、高知市
〔九州・沖縄地方〕 久留米市、長崎市、大分市、宮崎市、鹿児島市、那覇市

 

【納税義務者】
・該当する市内の合計事業所床面積が1000㎡超・・・1㎡あたり600円の資産割が課税される
・該当する市内の従業員数が100人超・・・従業者給与総額の0.25%の従業者割が課税される

 

 

●貸しビル駐車場、東京都と他で取り扱いが違う?

今回私が調べていたのは東京都です。
ビル内に事務所スペースと月極駐車場を借りて営業しているパターン。

この場合、合計事業所床面積に貸しビル駐車場の面積は入れるのか?

 —

≪東京都主税局ホームページより≫
A12貸ビル内の駐車場についても、そこで事業を行う法人又は個人に納税義務があります。
 したがって、貸ビル業者が自動車を管理・保管することを業として
行っている場合(専業であるか否かや、収入の有無は問いません)には、
その駐車場の納税義務者は貸ビル業者となります。
 一方、単に専用スペースを借りて車両を保管しているにすぎない者は、
その車両を何らかの事業の用に供していたとしてもそこで事業を営んでいるとはいえないため、
納税義務者とはなりません。

後半に書いてありますが、貸しビルのテナントが事務所のほかに地下駐車場を借りていても、
テナント側(借り手)は納税義務がない、ということになります。
この点に関しては都税事務所にも電話確認済みです。

しかし、横浜市、さいたま市、仙台市、藤沢市そのほかの地域では違う情報が載っているのです。

 

≪藤沢市 事業所税のQA より≫
当該駐車場が貸ビル業者の営業に係るものではなく、テナント
の使用部分が特定され賃借料を徴収している部分については、その特定部分
について当該貸ビル内で事業を営む者(テナント等)が納税義務者になるも
のと考えられます。

つまり藤沢市や他の市ではテナント側(借り手)に納税義務があるということになります。

どうも東京都だけ違うようだ。他にもあるかもしれないが・・・

そこで他にもいろいろ調べたところ、この件に関しては裁判が起こされていたのです。
意外と闇が深いな。。

 

●考えられる結論

東京高等裁判所平成19年(行コ)第254号事業所税決定処分取消等請求控訴事件であります。

この事件は駐車場のサブリース業者が千代田都税事務所に対して訴えを起こしましたが棄却(納税者敗訴)となっています。

判決文を読むと・・・

控訴人は、事業所税の課税要件が不明確であると主張し、さらに、自らは、貸しビ
ル所有者との間で一括駐車場賃貸借契約を締結して、余剰の空駐車場を賃借し、エン
ドユーザーを募集し、エンドユーザーにサブリースをする仲介業者にすぎないとして
、駐車場に係る事業所税の納税義務者は、駐車場の所有者であり、当該駐車場を一体
として事業を営むエンドユーザーであって、駐車場業者である控訴人ではないなどと
主張する。
しかしながら、事業に係る事業所税の趣旨及び目的に照らすと、同一の事務所及び
事業所で重畳的に事業が行われる場合であっても、事業を担う人や車両が参集し、事
業の作用として人や車両が参集する直接的な原因となる本体的な事業と認められるも
のに限り、事業に係る事業所税の課税客体となり、当該事業を行う者だけが事業に係
る事業所税の納税義務者となると解するのが相当であることは、前記のとおりであり
、事業所税の課税要件が不明確であるということはできない。
また、前記引用に係る
原判決の認定事実によれば、事業の作用として人や車両が参集する直接的な原因とな
るのは、控訴人が本件各駐車場で行う事業であり、控訴人が本件各駐車場で行う事業
が上記の直接的な原因となる本体的な事業に当たるということができるのであって、
控訴人の上記主張は採用することができない。

ということで。
貸しビルの駐車場については
エンドユーザーに貸す事業者に納税義務がある、ということになりましょうか。
あくまで東京都では。

●地方税は参照先に注意せよ

今回のように
地域によって細かい取り扱いが違うので、
検索して参照しているページが、
自分の申告先の地域が出している情報なのかどうかは最初に確認してください。

インターネットで検索して調べていると
基本的には上の方に自分が住んでいる地域の情報が出てくることが多いですが、
そのほかの地域の情報も並列で出てきますので。

上記の判決も、初審では「横浜市の手引きはテナント側に納税義務があるって書いてあるじゃないか」
と訴えているのです。
悲しいことに・・・

***

ていうか、そもそも事業所税は税金として整備が足りないんじゃないのかしら。
従業員割も給与支払額に対して課税してるわけだから、
資本金1億超の大法人にとっては外形標準課税と二重課税だし。
あと名前が良くない。事業税と事業所税て、ほぼ一緒じゃないのよ。ぶつぶつ・・・

 

納税者側に計算して申告させるのなら
もっとわかりやすくしてほしいです。特にマイナー税金は。
ローカルルールも無しでねー。

 

 

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